楽譜出版業界
楽譜出版業界の仕事とは?
楽譜は音楽をユーザーに届けるための重要かつ最もポピュラーな伝達手段と言える。現在多くの楽曲の楽譜が出版物として世に出ているが、これら楽譜の企画・制作・出版を行っているのが楽譜出版社だ。ただし、多くの場合、原曲をただ採譜すればいいというだけではない。
例えば、ポップスの合唱曲集を作って出版する場合、編成に合わせた楽曲のアレンジはもちろん、まずはその出版企画の立案、社内プレゼンや調整、曲集に収録する曲の選定、JASRACへの楽曲使用申請、アレンジャーやデザイナーへの発注など、その業務は多岐に渡る。とりわけ楽譜の内容、つまり選曲やアレンジに関しては、原曲をどのような目的でユーザーに楽しんでもらうかに応じて、難易度も含め様々なバリエーションが考えられるため、それを統括する編集者にはユーザビリティーを兼ね備えた音楽センスが必要となる。
また、楽譜は当然制作過程で入念な校正(チェック)を経て出版される。楽譜をチェックできるだけの音楽的基礎力や、様々な楽曲スタイルとそのアレンジに関する専門知識、楽器の奏法理解も重要だ。映画・放送音楽コースでは作編曲の専門的なスキルを培うのはもちろん、多くの学生と教員・スタッフが関わる録音実習や、アルバム1枚をセルフプロデュースする卒業制作を通して、主体性、企画力、チームで恊働する力も養う。何より、映画・放送音楽コースで身に付く汎用性が高い音楽制作能力こそが、多様な音楽をユーザー目線で捉え、それを商品化する企画力につながっている。
立体的なカリキュラムで学ぶことで、学生は「スペシャリスト」としての能力と、「ゼネラリスト」としての能力の両方を伸ばし、実社会で即戦力として活躍できる人材に成長していく。