MMC在学生が
現役音大生でも
難しい!?
MMC入試で課される
『伴奏付け』課題の
ポイントとコツを
合格した本人が解説!
やってみた人
作曲/ミュージック・メディアコース 4年生(2022年度入学)
飯野 麟太郎(いいの りんたろう)さん
5歳よりピアノを、14歳より作曲を学ぶ。2021年4月、東京音楽大学 作曲指揮専攻/ミュージック・メディアコース入学。2023年に東京音楽大学とNHKのコラボ企画として制作された みんなのうた『ツバメ 〜オーケストラバージョン』では編曲を担当。その他、アーティストへの楽曲提供、イベント用音楽の制作、演奏会用の編曲などの活動を行う。
やってみた問題
MMC入学試験科目で「専攻実技」
として課される『伴奏付け』。
今回は2022年度の入試で課された『伴奏付け』課題を実際に解いてもらいました。
▼入学試験要項(当該箇所抜粋)
▼実際に入試で使用された問題用紙
▼実際に入試で使用される解答用紙(空五線)
インタビュー
—MMCを受験した理由を教えてください。
中学生の頃から「将来は音楽大学に行きたいな」って思っていて、昔から作曲するのが好きだったので、作曲専攻に行こうと思ったんです。
子供の頃からピアノをやっていたんですけど、僕の通っていたピアノ教室がクラシックだけじゃなくて、ジャズもやったり、リトミックとかもやったり、小学生の時からコードも教えてもらっていて、幅広く「音楽の楽しみ方」を教えてくれるような場所だったんですよ。その影響もあって、行くなら商業音楽の世界がいいなと思っていて、それでMMC(旧:映画放送音楽コース)を知って受験を決めました。
MMCをリサーチしてみて、いいなと思ったところは、ポピュラー音楽全般を幅広く学べるところと、ポピュラー音楽だからといってクラシックやジャズなどの伝統的な音楽を軽視せずに、そういった分野もしっかり学べるっていうところにすごく惹かれました。
—久しぶりにMMCの『伴奏付け』課題を解いてみていかがでしたか?
そうですね、やっぱり受験前と比べると、コードの知識や技術が自由自在に操れるようになったというか、「なるほど、ここにはこういうコードが来るんだな」っていうのが、メロディーを弾いただけでわかるようになっていて。いわゆるメロディーに対するコード感みたいなものが醸成された手応えを感じました。
今回も入試と同じように制限時間60分で実施したんですが、時間的にはやっぱり駆け足に感じました。実際はメロディーを回答用紙に書き写すので10〜15分ぐらい取られるじゃないですか。その後に鍵盤を弾いて解き始める。実質的には結局45分ぐらいしかないので、やっぱ少し短いなと。
▼飯野さんが実施した『伴奏付け』過去問題の解答
▼MMC教員による添削結果
—ご自身の入試の時は、どうやって勉強しましたか?
僕は石川洋光先生に師事していました。
レッスンでは過去問題を1レッスンにつき3曲以上は必ず持って行きましたね。とにかくもう弾いては直され、弾いては直されの繰り返しで、徹底的に鍛えてもらいました!
石川先生に師事したのは、高校3年の9月頃で結構遅かったんですけど、元々コードに触れていた経験と予備知識があったので、受験対策に専念することができて何とか間に合いました。
コードネーム自体を知らないような未経験の段階から始めていたら、ヤバかったでしょうね。
あと、解いた過去問題を先生に直接添削してもらう中で、『伴奏付け』メロディーの“クセ”みたいなものが肌感覚でわかってきたのはやっぱり大きかったです。
—『伴奏付け』で得たスキルは入学後、どのような場面で活きていますか?
入学までにコードの基礎をしっかり身につけた分、1年生からコードの連結やボイシングに重点をおいて学べましたし、MMCの高度な授業内容にも自分なりになんとか付いて行けたと思います。
『伴奏付け』は受験問題としての独特の“クセ”もありますけど、そこで身に付くコードの感覚は、一般的なポピュラー・ミュージックのコード・ワークからしてもオシャレなものが多いです。そういうハーモニーの扱い方を知れたのは自分の中でも大きかったですし、曲づくりでも随所に活きているなと感じます。
—『伴奏付け』のコツや、入試対策の方法があれば教えてください。
コードの理論書を読んだり、コード進行をただ白玉で弾くだけでは「お勉強」になってしまいますよね。もちろんそれも大事ですが、実際の音楽作品での使用例と結びつけてコード・ワークを覚えて、身に付いたことは自分の曲づくりでも実践していくことが上達への近道かな、と思います。
試験当日は、さっき言った通り実質45分程度の短期戦なので、「こういうメロディーが来たらこう、このコード進行なら指がこう動く」みたいな、自分の中でのコード・ワークのパターンをたくさん増やしておくことが大切ですね。
それと、試験当日に書いた答案は、翌日の面接でMMCの先生たち(結構大勢)の前でピアノで弾くことになります。当日は課題を解きながらメロディーとコードもしっかり頭に叩き込んで覚えておけば、緊張せず弾けると思いますし、その意味でもやっぱりコード・ワークのパターンを増やしておくことは大事かもしれませんね。