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川村ケン×ソングライティングコース在校生座談会その1 曲作りって何? どうやって作るの?

東京音楽大学に平成24年度から開設された、ソングライティングコース。日本の音楽産業の中核とも言えるJ-Popを生み出す人材の育成を目標にした本コースも今年で4年目を迎え、最初の卒業生を輩出することとなった。そこで、本コースの講師である川村ケン氏を中心にして、本コースでの学びについて、在校生のみなさんのお話をうかがった。



――在校生のみなさん、よろしくお願いします。作曲というと、とても難しいことのように感じますが、みなさん、どのように普段作曲をなさっているのでしょうか。

 

よし。
教室でキーボードとパソコンに向かう石川 晃士郎くん。

シャジャリ・デララさん(1年生、以下シャジャリさん):そうですね。私はどこかで落ち着いて曲を作るというよりも、生活の中で、たとえば買い物に行って何かを見て、それがきっかけになってメロディーが思い浮かんだりします。街なかで、おじさんが変わったポーズでタバコを吸っているとか……。思い浮かんだメロディーはそのままスマホに歩きながら録音して、後から完成させる、という感じです。

石川 晃士郎くん(3年生、以下石川くん):課題で期日が決まっているときや作りたいものがあるときは、時間を決めて作ることもありますね。朝が、いちばん頭がスッキリしていますから、朝起きて朝食を食べる前に、キーボードとパソコンの前に座って「よし。」みたいな。もちろん、そうじゃないときもあります。外で閃いたときは、ずっと頭の中でループさせてます。録音して後で聞き返すと、そのメロディーをどうして思いついたのか忘れちゃうんです。なのでずっと頭の中でループさせて、家に帰ったらすぐ打ち込みを始めます。

――学校では、色々なジャンルの曲を勉強していると思いますが、普段はどのような曲を聴いていますか?

石川くん:ピアノで弾き語りをやろうと決めたときから、ビリー・ジョエル、エルトン・ジョン、小田和正といったアーティストの曲を聴いていました。思えばそれは、家族でドライブ行くときにかならずクルマの中でかかっていた曲。そういうのって今作る自分の曲にすごい影響があるなぁ、と思います。原体験のような。今ではいろんな曲を作れるように、もっといろんなジャンルを聴くようにしています。YouTubeを使ったりもします。


バラード調の曲が好き
J-Popはもちろん、洋楽なども幅広く聴いて勉強している。

西川 愛さん(4年生、以下西川さん):わたしはバラード調のゆったりとした曲が好きですね。宇多田ヒカルさんとか。そのあたりを中心にYouTubeで関連動画を追っていったりして、日本のポップスを深掘りしています。

柳澤 璃李子さん(2年生、以下柳澤さん):J-Pop、J-Rock、いろいろ聴きますが、とくによくロキノン系(※1)などと呼ばれるジャンルですかね。フジファブリックとかです。昔からずっと好きだったのは、自分と同じギター弾き語りのYUIさん。最近ではサカナクションも大好きです。サウンドクラウド(soundcloud.com)で再生回数の多い曲とかも聴いています。洋楽もよく聴いていて、日本のポップスにはない曲の進行とかも課題の作曲に採り入れるようにしています。

川村ケン先生(以下、川村先生):そう。日本のポップスには、Aメロ、Bメロ、サビっていう定型的な好まれやすいパターンがあって、それは五・七・五・七・七の短歌とか俳句の流れからきているんだよね。そのほかにも、起承転結とか序破急とかっていう文化的背景があるんだけど、そういったものは、例えば英米の音楽などにはそんなになくて、表す言葉も違って、バース、プリフック、サビをフック(※2)、などと言ったりしますね。シャジャリさんの故郷のイラン音楽にも、Aメロ、Bメロとかっていうのはないよね?

シャジャリさん:そうですね。洋楽もJ-Popも、イランの伝統的な曲とはだいぶ違いますが、最近ではアメリカやヨーロッパの音楽を採り入れてイラン風にした曲も流行っているようです。

冨田 響さん(3年生、以下冨田さん):わたしはロックですね。「パワーコード(※3)しか使わない!」みたいな邦楽のロック、たとえば、ONE OK ROCKとかが好きです。3歳からクラシック、その後ジャズを習ったり、吹奏楽をやったり、いろいろなジャンルの曲を聞いたり演奏してきましたが、今、私の中で、ロックにかなうジャンルがないので、大学入ってからもロック一筋です!

沙魚川 勝紀くん(2年生、以下沙魚川くん):僕は今、アイルランド音楽にちょっと凝っています。

川村先生:いいね! アイルランドには、素晴らしい独自の音楽があるし、ロックでも世界で最も成功したバンドのひとつ、U2もいるし、ティーンのザ・ストライプスなども今、凄い人気だよね。

――スマホやYouTubeをよく使うということでしたが、他にどのような機材やソフトウェアを使っていますか?

石川くん:キーボードの他には、打ち込みソフトウェアとして、Cubase(※4)を使っています。その前は、Logic Pro(※4)でしたが、乗り換えました。僕らが主に使っているJ-209教室(※5)のPCにはCubaseの最新版がインストールされているので、その方がデータの互換性があって作業が効率的なんです。たとえばオケだけ家で作って、歌は大学に来たときに同級生に歌ってもらうなんてことも、Cubaseどうしだと簡単にできますしね。音源は、僕たちのそれぞれのPCにもインストールされているKomplete UltimateやAddictive Drumsを使うことが多いですね。


バンドブラザーズ
冨田 響さん(写真右から2番目)は、高校生のときに作曲を始めたという。

冨田さん:わたし、Nintendo DSの「バンドブラザーズ(※4)」で作ってたこともありましたよ! 作曲を始めたばかりの頃は、曲のデータをどうやって作ったらいいか、どうやって記録したらいいのかわからなくって……。

川村先生:そうか! みんなもう最初からデジタル録音な世代だったんだね(笑)。カセットMTRでガチャガチャ! じゃないもんね。ちなみにカセットって知ってる?

冨田さん:もちろん知ってますよ。両親が使ってましたから。

シャジャリさん:たぶんイランではまだ使われてると思う……。

川村先生:なるほど、安心しました(笑)。でも、本格的に打ち込みを始めたのは、みんな大学に入ってからだよね。初めてでもすぐに使いこなせるようになるよね。さすが若さだね、吸収力が素晴らしいよね。

一同:だって、ビシバシしごかれますから(笑)



※1 ロキノン系:雑誌『rockin’on』(狭義には『ROCKIN’ON JAPAN』)によく採り上げられるアーティストのこと。

※2 バース、プリフック、フック:それぞれ、Verse、Pre-Hook、Hook。Bメロに相当するPre-Hookは、2小節ほどと短いこともある。

※3 パワーコード:ロックギターでポピュラーなコードトーン。ルートと5度(+オクターブ上のルート)のみのシンプルなコード。

※4 Cubase/Logic Pro/バンドブラザーズ:CubaseはSteinberg社、Logic ProはApple社のDAWソフトウェア。バンドブラザーズは任天堂が2004年に発売したソフトウェア『大合奏! バンドブラザーズ』のこと。

※5 J-209教室:本学のJ-209教室のこと。シンセやコンピューターによる打ち込みの授業などで使われる、DAW機材の充実した教室。詳しくは「施設紹介」参照。



座談会の参加メンバー

座談会参加者

写真左から、シャジャリ デララさん、沙魚川 勝紀くん、西川 愛さん、川村ケン先生、冨田 響さん、石川 晃士郎くん、柳澤 璃李子さん。